概要
Consumerユーザーがブラウザから分析を開いて閲覧する際に、ブラウザ画面上で設定したフィルター、マーキング、アクティブなページなどの情報はユーザーごとのセッション情報としで記憶され、次回ブラウザで同分析を閲覧する際にはこれらの設定が自動的に反映されることがあります。
前回閲覧した際の状態(フィルター、マーキングなど)ではなく、常に分析の最後の保存状態で閲覧するには、以下の手順で設定してください。
※この設定は対象分析ファイル(すべてのページを含む)にのみ適用されます。サーバー全体で設定変更するには後述の手順をご参照ください。
①Analystで対象分析を開いて、「ファイル」⇒「文書のプロパティ」を開いてください。
②「ライブラリー」タブにて以下のオプションをオフ(チェックを外す)にして、分析をライブラリに上書き保存してください。
・各Webクライアントユーザーのパーソナライズされたビューを記憶する
「各Webクライアントユーザーのパーソナライズされたビューを記憶する」の詳細
このオプションは分析ファイル(すべてのページに適用)ごとの設定であり、デフォルトではオンになっております(デフォルト値は変更できません)。
複数分析に対してこのオプションをオフにするにはそれぞれの分析を編集してください。
また、Web Playerサービス設定を変更してサーバー全体でこの機能をオフにすることもできます(手順は後述参照)。
Web Playerサービスの設定変更でこの機能をオフにした場合は分析ファイル内の設定が完全に無視されます。
このオプションがオンになっている場合、ブラウザで分析を閲覧する際に以下のいずれかの操作を実施した後には閲覧状態が記憶されます。
・メニュー:「ファイル」⇒「閉じる」を押して分析を閉じました。
・分析閲覧時にブラウザ画面上で操作なしでタイムアウトにより分析が自動的に終了しました。
また、以下の操作を実施した場合には閲覧状態が記憶されません。
・ブラウザまたはブラウザのタブを直接閉じました。
以下の閲覧状態が記憶されますが、ユーザーごとのセッション情報としてリポジトリDB内に保持されますので分析ファイルは変わりません。
・フィルター
・マーキング
・アクティブなページ
・アクティブなビジュアライゼーション
・パネル(フィルター、ブックマークなど)の表示・非表示
・ビジュアライゼーションのサイズ、最大化状態
・文書のプロパティの値
Web Playerサービス設定変更
以下の手順でWeb Playerサービスの設定を変更することで、該当Web Playerサーバー上で閲覧するすべての分析は前回閲覧状態が適用されなくなります。個別の分析ファイル内の設定が完全に無視されます。
※以降の手順はSpotfire Server 12.0 LTSでスクリーンショットを取得して記載していますが、Spotfire Server 10.10 LTS以降であれば対応しています。
①現行Web Playerサービスの設定を確認してください。
ブラウザからSpotfire ServerのURLへアクセスし、Spotfire管理者権限でログインしてWeb管理画面「Nodes & Services」⇒「Network」を開いて対象Web Playerサービスを選択して「Configuration」部分を確認してください。
ここで確認した結果には2つの可能性があります。
・Configurationに「Default」が表示されている場合はWeb Playerサービスのデフォルト設定を使っていることになります。この場合は次のステップではデフォルト設定をエクスポートして編集します。
・Configurationに「Default」以外の設定名が表示されている場合、過去にWeb Playerサービスの設定を変更したことがあることを示しております。この場合は次のステップでは既存設定をエクスポートして編集します。
②上記①の確認結果に従ってWeb Playerサービスの設定をエクスポートしてください。
・Spotfire Server端末内でOS管理者権限でコマンドプロンプトを起動して、以下のインストール先フォルダへ移動してください。
C:\tibco\tss\12.0.0\tomcat\spotfire-bin
・デフォルトの設定を利用している場合、以下のコマンド(export-service-config)を実行してWeb Playerサービスのデフォルト設定をエクスポートしてください。
※コマンド実行時にはConfiguration Toolのパスワードが必要です。(以下同)
config.bat export-service-config --capability=WEB_PLAYER --deployment-area=Production --platform=WINDOWS -f
引数の説明:
・「--capability=WEB_PLAYER --deployment-area=Production --platform=WINDOWS」はWindows版Web Playerサービスのデフォルト設定をエクスポートすることを示しています。「Production」以外のデプロイメントエリアを利用している場合はそれに合わせて書き換えてください。
・「-f」はエクスポート先フォルダやファイルが既に存在している場合に強制的に上書きすることを示しています。
・デフォルト以外の設定を利用している場合、以下のコマンドを実行して該当設定をエクスポートしてください。
config.bat export-service-config --config-name=wp-config-20230201 -f
引数の説明:
・「--config-name=wp-config-20230201」には現行設定の名前(本例:wp-config-20230201)を指定します。
Web Playerサービスの設定は作業フォルダの下に(サブフォルダ「config\root\」)以下の4つファイルにエクスポートされます。
③エクスポートされたファイル(下記)をテキストエディターで開いて以下の部分を編集してください。
・config\root\Spotfire.Dxp.Worker.Web.config
変更前:documentStateEnabled="true"
変更後:documentStateEnabled="false" ※参考資料
④以下のコマンド(import-service-config)を実行して変更後の設定ファイルをインポートしてください。
config.bat import-service-config --config-name=wp-config-20230510
引数の説明:
・「--config-name=wp-config-20230510」にはインポートで作る設定名(任意文字列)を指定します。この名前は①で確認していた既存設定の名前を指定しても構いません(既存設定が上書きされます)。
⑤Web管理画面「Nodes & Services」にて④でインポートした設定を対象Web Playerサービスに適用してください。
Web Playerサービスが複数存在している場合、同じ設定を複数のWeb Playerサービスともに適用しても構いません。
・対象Web Playerサービスを選択して「Edit」を押してください。
・ポップアップ画面に「Configuration」から対象設定(本例:wp-config-20230510)を選択してOKボタンを押して適用してください。
ここで対象Web Playerサービスが自動的に再起動されますので、ユーザー様の利用時間外に実施してください。
・もし④で既存設定と同じ名前(本例:wp-config-20230201)でインポートした場合、Web管理画面をリフレッシュすると該当設定が更新されている旨を示すメッセージ(本例:wp-config-20230201 (New version of configuration available))が表示されます。
この場合はメッセージの部分をクリックするとWeb Playerサービスが再起動され、更新後設定が適用されます。
前回閲覧状態の削除
Spotfire管理者が任意ユーザー、任意分析に記憶された前回閲覧状態を削除することも可能です。
①Spotfire Server端末内でOS管理者権限でコマンドプロンプトを起動して、以下のインストール先フォルダへ移動してください。
C:\tibco\tss\12.0.0\tomcat\spotfire-bin
②以下のコマンド(delete-analysis-states)を実行して前回閲覧状態を取得して削除します。
例:
・すべてのユーザー、すべての分析において作成された前回閲覧状態を削除します。(Spotfire環境構築が完了しリリースする直前に動作検証で作成された履歴をクリアするのに役に立ちます)
config.bat delete-analysis-states -u admin -q "*"
・特定のユーザー(本例:consumer1)がすべての分析において作成された前回閲覧状態を削除します。
config.bat delete-analysis-states -u admin -q "created_by:consumer1"
・Spotfire 12.0より前のバージョンの環境(バージョンアップ前の古い環境)で、すべてのユーザー、すべての分析において作成された前回閲覧状態を削除します。
config.bat delete-analysis-states -u admin -q "*" -a "56.0"
※コマンドを実行するにはConfiguration Toolのパスワードが必要です。
引数の説明:
・-u value/--user=value(必須):削除を実施するユーザー(本例:admin)を指定します(該当ユーザーの前回閲覧状態を削除するわけではありません)。このユーザはSpotfireライブラリ管理者権限を持っている必要があります(ビルトイングループAdministratorまたはLibrary Administratorに所属)。
・-q value/--search-query=value(必須):削除対象の前回閲覧状態を検索する条件を指定します(分析ファイルを検索するわけではありません)。検索条件の詳細は製品マニュアルをご参照ください。
・-a value/--keep-technical-versions-after=value:検索条件に一致した前回閲覧状態のうち、StateVersion(コンソール出力)が指定されたバージョンよりも小さいもののみを削除することを指定します。未指定の場合はすべてのバージョンを削除します。この引数は古いバージョンのSpotfireで作成された前回閲覧状態(バージョンアップで引き継がれた古い情報)を削除するために使用されます。StateVersionはWeb Playerサービスの内部管理バージョン(technical version)となります。
コマンド実行時には検索条件に一致する前回閲覧状態の一覧がコンソールに出力され、削除を進めるかどうかが聞かれます。「Y」を入力して削除を実施できます。
上記のコンソール出力を整形した結果は以下です。
ItemId Created CreatedBy StateVersion AnalysisId AnalysisPath AnalysisVersion AnalysisModificationDate
adf1434d-2511-4d09-8fa6-5cf11146e9ac 2023-05-10T18:47:26,845 consumer1 56.3.18227.3228 eca209f9-293f-49df-92fa-1113fb494596 /samples/Expense Analyzer Dashboard 12.0;11.8;11.4 2023-03-24 10:28:46,499
c161a841-034d-43b3-b41a-f4d1dcd7f200 2023-05-10T18:48:41,307 admin 56.3.18227.3228 eca209f9-293f-49df-92fa-1113fb494596 /samples/Expense Analyzer Dashboard 12.0;11.8;11.4 2023-03-24 10:28:46,499
6f897b92-734c-4507-bf6a-d1e2c0fb8160 2023-05-10T19:09:46,977 admin 56.3.18227.3228 5dfbfbfc-8954-451e-b002-751f86dcaae7 /samples/Sales and Marketing 12.0;11.8;11.4 2023-03-24 10:28:46,197
StateVersionとWeb Playerサービスのバージョンの対応付け表(LTS版のみ)は以下です。
Spotfire Analyst/Web Playerバージョン | StateVersion |
12.0.X | 56.X、例:12.0.0⇒56.0、12.0.1⇒56.1、以下同 |
11.4.X | 51.X |
10.10.X | 46.X |
Web PlayerサービスのStateVersionは以下のWeb管理画面で確認できます。「Core」パッケージの「Installed version」が該当Web PlayerサービスのStateVersion(本例:56.3.18227.3228)になります。
StateVersionは「major.minor.build.revision」の形式で4つ部分の整数で構成されますが、コマンドの引数に指定する際には先頭の2つ部分(major.minor)のみ指定してかまいません。
前回閲覧状態なしでの閲覧方法
Web Playerサービスおよび分析とも前回閲覧状態が適用されるように設定されていても、分析へのリンクを変更してからブラウザから直接アクセスする場合には前回閲覧状態が適用されません。
・分析へのリンクの例(元のURL、前回閲覧状態が適用される)
http://mySpotfireServer/spotfire/wp/analysis?file=/Reports/MyReport
・以下のようにURLの後ろに「&applyState=false」を付けてアクセスする場合には前回閲覧状態が適用されません。
http://mySpotfireServer/spotfire/wp/analysis?file=/Reports/MyReport&applyState=false
参考資料
以上